■ お稽古用 茶会用 のお茶道具には どんな物があるでしょうか?
■掛軸 掛け物
掛軸は 茶室はもちろん 和室の床の間を 飾る 道具の中心 日本の座敷の最重要装飾品です。
書 画 骨董 というように 一番は 書 画であり 掛軸 掛け物の事を 指します。
●掛軸の内容 種類
茶室で良く用いられるの掛軸は 大きく分けて [掛字]と[掛絵]の二つに分類されます。
掛字には 大きく四種類に分けることができます。
●墨蹟 (横物 一行物 二行物)
●懐紙 詠草 (詞 和歌 連歌 狂歌 俳句 狂句)色紙 短冊
●古筆切 (経巻 詩 和歌 冊子 文書 の断簡)
●消息 (手紙)
掛絵には 大きく二種類に分けることができます。
●絵画 (唐画 古画 新画 絵巻物 )
●画讃 (画讃 自画讃 歌仙切 )
などが あります。茶道は 禅に基盤を 置いて構成されておりますので 高僧の筆蹟は 茶室の掛け物 として非常に尊ばれている掛け物になります。
非常に希少な歴史上の人物の筆蹟は 茶道具の中でも 本道具としている一方で
お稽古の時などは 禅語を 良く理解するためにも お稽古の時なとでも 大徳寺の一行書などが 良く用いられます。
箱の蓋に 書付で 中身と一致していれば 共箱と認められます。一般的に古来より掛け軸の箱と中身は同時代に制作された物が信頼性が高く書付きであった時にもこれを考慮します。掛け軸のサインと箱のサインが一致していれば 良品である可能性がたかく 高額査定 高価買取が 期待できます。
■香炉(こうろ)
香炉は 香を焚く器では ありますが 床の間や書院の飾りに使います。
茶道 香道にも 用いられる 主役級の御道具になります。 銅製 鉄製 陶器 磁器の物から 木製 漆塗り 蒔絵の物もあり一重口 袴腰 獅子 柄香炉 など 様々な 形状があります。
陶器
井戸 井戸脇 雲鶴 三嶋 粉引 刷毛目
楽焼 仁清 乾山 瀬戸 織部 唐津 黄瀬戸 その他 国焼 の物が あります。
各種 作家物(永楽善五郎・諏訪蘇山・真葛香山 など)
香炉の火屋 蓋なども作品として高価買取できる場合があります。
香炉を 飾る 香炉台
高卓・ 春日卓・ 螺鈿台 ・八足卓
香七つ道具なども 付属品としてあり銅製の物が 一般的ですが 銀製や金製の高級な物もあります。
香炉は お香 を焚く道具であり 香道などにも用いられますが 茶道の調度品として道具として重要な役回りをはたしています。また近年 御香 線香なども未開封の物などは査定対象として買取が可能です。線香や練香 香木(沈香・白檀・伽羅)といった高級香木の買取を強化しております。
■ 花入 花器
茶道具の茶室の飾りとして 花は 掛け物に次いで大切な役わりを 担います。
この花を生ける花器 花入も 多種多様な形 材質から成り 唐物 中国の古い物から時代の和物 現代 作家物などが あります。
陶器や銅製の物も よく用いられますが
茶道では、竹製の物も多く 一重切花入や尺八形 竹網の籠花入 瓢箪の花入 などがあります。
華道は お花を生けること 活けた時の全体のデザインを重視します。その一方で 茶道の花器は 季節によっても多種多様な形・材質を使い分ける傾向があり 古くより唐物(中国 唐より渡ってきた鍍来品)を頂点とする道具の格付けがあり千利休の考案した茶器や花器を焼いた楽焼 や日本の六古窯(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前)国焼きの大小様々な窯の物があります。
◾️薄板 うすいた
茶道では花入を 床の間に飾る時 薄板に載せることになっている
薄板には 三種類あって
⚫矢筈板 やはずいた
⚫蛤端 はまぐりば
⚫円香台 まるこうだい
花入形などによって使い分ける
◾️台子 だいす 棚物 たなもの
茶道は 台子点前から始まった。入宋していた南浦紹明(なんぽじょうみょう)により伝えられた 茶祖である村田珠光が 台子 釜皆具一式を 使って点茶方式を 組み上げ 後に 利休 紹鴎 により台子による茶の湯を 完成させた。
台子より 波及した棚物は多種多様で
⚫台子 (竹台子 高麗台子)
⚫大棚 (紹鴎棚 志野棚 風呂置き棚 )
⚫小棚 (中央卓 宗及棚 栖楼棚 ) (冠台 山里棚 四方卓 丸卓) (旅箪笥 短冊箱 茶箱)
⚫仕付棚 (一重棚 二重棚 釘箱棚 炮烙棚)
上記のように 種類も数も多く おおよそは 木製 漆塗りや竹製です。 指物師が 作った物が多く組み立て式になっている物があります。 皆具や風炉釜を 飾り付けて使用したり 小棚などは 水指や茶入などを 飾り使用します。
◾️風炉先 風炉先屏風
茶室 主に六畳以上の茶室の調度品 装飾品として使用されます。
◾️結界
竹製や木製の物で 広間などで 区域を区切る時などに使用します。
◾️ 釜
茶道において 湯を沸かす道具で 鉄製の物が ほとんどで 季節や茶会の趣向に合わせて いろいろな形の物が あります。
⚫釜の種類と名称
阿弥陀堂釜 丸釜 四方釜 笠釜 針屋釜 百佗釜 蜜柑釜 阿古陀釜 蒲団釜 尻張釜 筒釜 真形釜 切子釜 棗釜 富士釜 六角釜 八角釜 万代屋釜 香炉釜 兜窯 瓢箪釜 俵釜 袋釜 茶臼釜 平蜘蛛釜 尾上釜 葛谷釜 枡釜 羽子板釜 那須釜 宝珠釜 十文字釜 尾垂釜 茶飯釜 手取釜 …その他 多数あり
お稽古などに使用される釜は 素直な形状の物で 南部鉄製の物や 有名作家の物もあります。南部鉄製の物の見分けのポイントとしてその箱が 紙 段ボール箱といった簡易的な箱が 多いと思います。
作家物の釜は 桐箱に収納され箱に作者のサインがある物が 多くあります。
⚫時代の釜 作者 と 時代作
茶会など本式に使用される釜を 大きく分けると 芦屋 天明 京作 関東作 と四つに分類する事ができます。
⚫芦屋釜
建仁時代 九州筑前遠賀郡 芦屋の 釜師が 制作した釜を 芦屋釜と呼んでいます。
また、元亀 天正時代以前のものを 古芦屋と呼びます。
⚫天明釜
下野国佐野は 昔 天猫(てんみょう)と呼ばれており 猫の字を 避けて 天明や天命と書くようになりました。
桃山時代 以前を 古天明 以後を 天明と呼んでいます。
⚫京作釜
名越家 西村家 辻家 下間家 大西家 宮崎家 と京都を 代表する釜師の家系が あります。
⚫ 関東作釜
江戸名越家 江戸大西家 堀家 山城家
関東作の代表する家系として知られております。
その他 髙橋敬典など人間国宝の作釜なども人気があり 作家物の釜は お稽古 本式にも使用される事もあります。
◾️風炉 (ふろ)
風炉は 火を 置いて釜を 掛けるための器で 火鉢とは 異なります。
⚫種類 材質には、 土風炉 唐金風炉 銅風炉 鉄風炉 陶器製 まれに 木製の風炉などが あります。
茶家では これを 真 行 草 と三段に分けて区別しており使い分けております。
主な風炉師
(上田宗品 )
(西村家 )
永楽善五郎の家祖で 初代 宗印 は 奈良の京西村に住み 屋号を 奈良屋とした。
二代目 宗善 は、堺に移住
三代 宗全 より 京都に住み 三斎 遠州の用命を 受けて作陶した。
三代の弟 宗四郎は 豊公より天下一の号を賜り四代目以降 十一代保全まで 代々 「了全 」の 印を 使用した。
十一代目より 姓を 「永楽」と改めて現在に至る。
(辻井播磨) 京都 深草の名人
(与九郎)京都の人
⚫お稽古用の土風炉は 安価な物が 多いのですが 京都という土地柄 土風炉は 名人作などが 紛れている事もあり 高値で取引されることもあります。
種類
奈良風炉・ 道安風炉 ・紅鉢風炉 ・四方風炉
眉風炉 ・透木風炉・ 簞瓢風炉 ・手向山風炉
などがあり いろいろな形を 楽しむ
特殊な物に 鉄製の 欠風炉 ヤツレ風炉などもあり 多様な形 材質のものがある。
敷き板 (風炉の下に敷く板)
木製で 塗りの物や 木地 の物があり鉄風炉には 陶器製の織部板などを 使用する約束になっています。
⚫敷板の種類
大板 (おおいた)小板 (こいた)
荒目板 (あらめいた)円板(まるいた)敷瓦(しきかわら)などがあります。
木地 漆塗 蒔絵 などの物や 敷瓦などは 陶器製で 主に織部の釉の物が 多く見られます。
■炉縁(ろぶち)
お茶室には 炉が切ってあり これに釜を掛けて使用するのですが この炉には 炉縁という 四方形の物を はめ込み釜を 掛けるのが一般的です。
炉縁には 真塗を基本として 溜め塗り 春慶塗 青漆 朱塗 飛騨塗 掻合塗 一閑塗等が あり 桐菊の蒔絵 (高台寺蒔絵)や蒔絵のある炉縁などもあり 茶会の趣向に合わせて 用いる事となっております。
また 材質は 木材で 桜 松 欅 黒柿 桐 黒檀 紫檀 紅梅 竹などの材を 使用したり 大徳寺などの古寺の古材を 使用している物などもあります。
一般的には 指物師 蒔絵師 作の物が 多く 共箱に 名前がある事で 誰の作品であるかを 見分けます。
●五徳 (ごとく)
鉄製で 三本の柱が立ち上がって爪があり ここに釜を 置いて使用する道具
● 鎖 (くさり)自在 (じざい)弦 (つる)
釣り釜の時の道具で 茶室の天井に吊るし釜を それに掛けるのに使用する
■ 香合
茶会のはじめ 炭手前の時に 香を焚くのですが 身を清め 茶室の空気の浄化 臭気を消すなどの 目的があります。
この時に使用する香木 香料は 高貴な物も多くこの貴重な香料を 入れる容器として 香合があります。
[おすすめポイント]
茶道具 時代物の伝来や時代判別には 箱書がある物は 書と中身の一致を見て有力な鑑定基準とする事が できますが その一方で時代の古い物は古来より高価な品の為に贋作も多く 箱書や鑑定書なども信用できない筆が多く 茶道具は特に 時代区分は 特に難しいと思います。
お稽古物だと思って使用していた物が 実は 時代のある高価な品だったなんて事も良くある事です。査定のご依頼は経験の豊富な信頼のできる古美術商に見てもらう事をおすすめします。