蒔絵とは 漆器の表面に漆で絵や文様 文字などを描き それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を「蒔く」ことで器面に定着させる技法です。もしくはその技法を用いて作られた漆器のことです。
裏千家十四代 碩叟宗室 淡々斎|多彩な才能に恵まれた近代の茶人
碩叟宗室 淡々斎(せきそうそうしつ たんたんさい)は、裏千家家元らしい詫び数寄の名品を多く遺しています。類い希な芸術的センス、自由な発想、書画や漢詩にも恵まれた豊かな才能は、茶道具の完成度を高め可能性を広げた茶人です。
器用で、多彩な才能にも恵まれた碩叟宗室。茶道以外にも、書画や能、唄、和歌などさまざまな芸術分野に精通し、その感性とセンスは黒楽平茶碗や赤楽とった作品製作にも生かされています。
古典や漢詩に通じたことは、傑作と伝わる「梅月棗」でも証明しています。これは中国宋代の詩人、林和靖の漢詩から着想を得て、十職共同で作られた名品です。このように碩叟宗室は知性と教養をいかんなく発揮しながら、豊かな感性と美的センスでたくさんの名作を世に送り出しました。
淡々斎の好み物は、裏千家歴代宗匠に通じる侘び数寄と、目と心を楽しませる豊かな感性に溢れる一方で、今までにはなかった自由な伸びやかさと、端正な美しさを持つ作品が多く残されています。この好みは茶室にもよく反映されており、手がけた茶室はすっきりとした美しさと静謐さに溢れています。また、広間や立礼式を踏まえた茶室作りも淡々斎に始まるとされています。
今日においてもすぐれた作品群は多くの人々の垂涎の的となっています。
黒に映える鶴がとても繊細で高級感のあるお棗です。